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見ても何にもためにならない写真日記だよ


by toushirouEX
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布団も泳ぐ春の風

布団も泳ぐ春の風_e0132718_191501.jpg




 僕の家でもかつては鯉のぼりを揚げていたいたが息子たちが大きくなった今、鯉たちは倉庫の中で眠っている。鯉のぼりというのは『薫風』などという言葉が相応しい気持のよい春の季節の恒例の行事なのでそれがないのは少々寂しくなった反面、僕にとっては心配の種がなくなってほっとしているというのが正直なところだ。

 以前にも触れたかもしれないが僕は若かりし頃レーシングクルーザー(外洋型のレース用ヨット)のクルー(乗組員)をしていた。
 風だけを動力にするヨットのセール(帆)、特にレース艇のものは非常に大きくレース日和というような日(鯉のぼりが元気よくはためくくらいの5メートルから7メートルくらいの風速)にはそこに数トンの力が加わっている。レース中、追い風用のスピンネーカーというセールに交換する時などマストマンといわれる役割のクルーは皮製の手袋をはめマストの下に立ち一瞬のタイミングでハリヤードといわれるセールを上げるためのロープを全力で引き新しいセールをあげる。そのタイミングが狂ったりすれば上げかけのセールは瞬時に数トンの力をもった風をはらみ艇はたちまちコントロールを失い横倒しになってしまったり競い合っている他の艇に衝突して人命にかかわるような事故を起こしてしまうこともあるし、ロープが手や足に絡まりでもすれば簡単に手が引きちぎられてしまう。だからヨットレースというのはある意味命がけの遊びなのである。

 そんな生活を何年も続けてきたので陸に上がった今でも風のパワー、恐ろしさが染み付いてしまった僕は風に対して非常に敏感で自分の家で鯉のぼりを上げていると風の向きや強さがいつも気になって仕事に集中できなくなってしまう。

 5月という季節は案外強い風が吹く季節でその方向もくるくると目まぐるしく変化する。その日吹く風の方向や強さを予想し適切にロープの張り加減を調整しておかないと鯉のぼりが竿に巻きついてしまって強風の中、下ろすに下ろせず竿や鯉のぼり自体を破損してしまうなどということもあり得るのでその当時は僕はまこの季節毎日気が気ではなかったのだ。

 他人からするとそんなに気を使わなくてもいいのにと思うかもしれないが本当に風の怖さを知っている僕にとってはそれは大変なことだった。

 今日もお向かいの家では元気よく鯉が泳いでいる。それが仕事場の窓からよく見えるのだが他人のものであっても風の向きが変わったり風速が上がったりすると僕の心中は穏やかではない。



今日の写真は何とかして勢いよく泳ぐ鯉のぼりのはためきを表現したかった。しかし晴天、真昼の光の中ではSSが1600などという数値になってしまい動きが止まってしまう。そこでPower Shot G9のNDフィルター機能を使ってみたらどうにか1/60くらいのSSを得ることができた。
by toushirouEX | 2009-04-20 19:16 | 日常